家庭用洗剤と浄化槽の関係

2007年3月26日

暖冬のまま、いつの間にか春になってしまったようです。
春を迎える時期のことを「水温む候」と言いますが、川の水温が上がったことに春を感じるなんて、昔の人は川と密接に暮らしていたようですね。

蛇口を開くだけで水を使えるようになった私たちは、川よりも水道のほうが身近と言えるかもしれません。でも、台所やお風呂やトイレで使った水は、やがて川に流されていきます。川の水で季節を感じられなくなっても、私たちが川と密接に生活していることに変わりはないのです。

<私たちができることって?>

そんな私たちが川に対してできることは、水を「湯水のように使わない」(2005/5/9コラム参照)ことと、生活排水をできるだけ汚さないように意識すること、ではないでしょうか?

そのひとつに、浄化槽に対する気配りがあります。
家庭で広く使われている浄化槽は、バクテリアや微生物の働きで汚濁物質を分解処理し、上澄みの水を消毒して排出するというタイプで、その汚濁物質除去能力は下水道の終末処理施設並みです。この機能を安定した状態で使い続けるには、法律(浄化槽法)で定められた定期的なメンテナンスに頼るだけでなく、毎日の生活でのちょっとした気配りが大切になってきます。

<家庭内洗剤と浄化槽の関係>

たとえば、お風呂で使うカビ取り剤のほとんどは、次亜塩素酸ナトリウムを主成分にしています。これを適正量を超えて使用すると、浄化槽のバクテリアや微生物を殺してしまいます。洗剤は適正量で使用し、使用後は多めの水で洗い流すようにしましょう。

トイレ用洗剤は浄化槽用のものを使いましょう。浄化槽用といっても、使用量が多すぎれば、やはりバクテリアや微生物の働きを弱めてしまいます。トイレ清掃はできれば水かぬるま湯を使って、便器の黄ばみや汚れを取るときはトイレットペーパーに消毒用アルコールをしみ込ませて拭き取るようにしましょう。また、トイレットペーパーの流しすぎも汚泥物質を急激に増やす原因になってしまうので、気をつけましょう。

台所で出た野菜くずや魚も排水口に流さないようにしましょう。バクテリアや微生物の餌になると思うかもしれませんが、浄化槽の能力にも限界があります。家庭で使われている浄化槽は、台所のゴミをすべて引き受けられるようには作られていません。


東京湾を汚す原因の70%が生活排水である、と報告されています。
限られた水資源を長く使っていくためには、自然環境に対する配慮が欠かせません。
便利になった生活様式を一変することは難しいですが、家庭内洗剤の使い方を考えてみるといったことなら、今からでもできるはずです。

浄化槽への気配りを知ることも、自然環境に対する立派な配慮です。
できることから始めていきましょう。

浄化槽について詳しく知りたい方は、当社までご一報ください。

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